こんにちは、お久しぶりです。
「思い出の味 再現します」の宗河 美幸です。

2016年は春からTVの取材を何本かお受けしていく中で
経験したことや裏話を少しずつお話できればと思います。

お話したいことはたくさんあるのですが
何からお話したらいいのかな?(笑)

 

第1回目はまだ記憶に新しい
昨年暮れに放送になった
BSフジ「一滴の向こう側」の
「一滴の裏側」をご紹介しますね。

 

今回はこの中で紹介された
『子供の頃に食べたコロッケ』について

実はこのコロッケが、私にとってすごく難しかった・・・

 

私の「思い出の味 再現します」は
クライアントさんのヒアリングから始まります。

そこでいかにたくさんの情報を吸い上げられるか、
または記憶の奥底に埋もれてしまった古い情報を
どうやって思い出してもらうか、
というのが最大のポイントなのです。

 

ですが、このクライアントさんから聞きだせた情報は
あまりに少なくて、試作に入る前から前途多難でした。

 

番組をご覧になっていただいた方はご存知だと思いますが
このヒアリングで私が聞き出せたのは

・このコロッケはいわゆる「お肉屋さんのコロッケ」であること。
・食べていたのは45年位前であること。
・このお店の記憶があいまいで、お店の名前もわからない。
・お店の場所もわからない。
・当然、今もあるかどうかもわからない。
ということでした。

 

また、味の記憶に関しても
・特別な味付けではない普通のコロッケであること。
・大人になってから食べたいと思って
 「ここのコロッケは美味しい」というコロッケを食べても違う。
・最近はどこのコロッケを食べても「甘い」と感じる。
・しいていえば、塩味がしっかりついていたかも?
というものでした。

 

私は「思い出の味 再現します」の中で
ご家族(お母さんやおばあちゃん)が作った
料理を再現することが多いのですが
このケースは、お店の味ということで
この「作った人」というところからの
アプローチができない。

 

そして、このクライアントさんが男性ということで
料理に関する基礎知識という点でも情報が少なく
どこからアプローチすればいいのか?すら
わからないような状態でした。


普段から料理をする方ならおわかりだと思いますが
コロッケを構成する要素として大きなものとして
ジャガイモの種類
ひき肉の種類
ジャガイモ、ひき肉、玉ねぎの割合
揚げ油の種類 とかですよね。

 

なにせ45年前なので、今のように色々な品種の
ジャガイモが手に入るはずはないと考え

定番の男爵か?もしかしたらメークイーンか?
ひき肉は、牛か豚か合びきか?
油はお店ということでラードか?

毎回のことですが、こんなあやふやな状態から
1回目の試作に入ります(笑)

 

これを読んでくださっている方は、
たぶんほとんどの方が大人だと思うので
こういう例えをするのですが、
会議などでああしよう、こうしようと話していても
具体的なたたき台などがないと、
話ってなかなか、決まっていかないですよね?

なので、とりあえず1回目の試作は

クライアントさんから聞いたお話をもとに
私の想像を形にするという感じで作ります。

そして、今回は「お肉屋さんのコロッケ」ということで
昔ながらの商店街の中のお肉屋さんに足を運び
何件ものお肉屋さんのコロッケの試食もしました。

 

普通は試作の段階で、写真や動画を
クライアントさんにお送りして
もっとこんな風だとか、ここが違うなどと
コメントをいただきながら修正していきます。


しかし、今回は見た目での判断は難しいというお返事と
このクライアントさんがお忙しくてなかなか
追加のヒアリングの時間も取れないという状況の中
当日を迎えました。

 

思い出の味を再現する当日は、
何回試作をするのか?がまったくわからないので
なるべくクライアントさんの時間の負担を減らすため
前日か、当日に作った試作品を何品かお持ちして
まずは、その試食からスタートすることが多いのですが
この日、お持ちしたコロッケは、

ジャガイモの種類、ひき肉の種類、牛・豚の割合が違うもの、
コロッケのサイズ、形の違うもの、
なんと全部で12種類を持ち込みました。

 

こんなにたくさん作っても、この中にドンピシャのものって
ないものなんですよね~^^;

12種類もあって迷わないの~?って
思われるかもしれませんが、迷わないんですね、これが!

そして、その判断のスピードはびっくりするくらい
早いのです。

 

一口食べて、ごっくんしたら、すぐわかる。
みなさんちゃんと頭の中には

明確な「思い出の味」があるので、
残酷なぐらいはっきりと「違う」とおっしゃいます(笑)


ステップとしては、この中から一番近いものを選んで
今度はこれをベースに、もうちょっとこうかなぁ?って感じで
進めていきます。

 

今回も、持参したコロッケの中で一番近いというものから
さらにヒアリングを進め、次回の試作をしたのですが
通常なら、1回目より2回目の方が、目的地とする
「思い出の味」に近づくはずなのですが、
今回に限っては、1回目に食べたものの方が
「思い出の味」により近い・・・という感想でした。

「あれ?なんで?どういうこと??」と
私もクライアントさんも、その場にいたディレクターも
全員で頭の中に「?」でいっぱい(笑)
この後、どう進めていいかわからず・・・
迷子です、迷子 ^^:

もう、そういう時は、戻るしかありません(泣)


そこで、1回目と2回目は何が違ったのか?
もう一度クライアントさんからよ~く話を聞いてみる。

その中で出てきたのは
「こんなにパラパラとパン粉が落ちなかった気がする」
という、ひとこと・・・・

 

それって、どういうことが原因なんだろ?と
考えたときに、私の頭に浮かんだのは
「もしかして、衣の水分量か??」

この日1回目の試食は、朝に揚げたコロッケを
持ち運びのために薄いプラスチックの容器に入れて
持っていっていました。

でも、2回目は現地で揚げて、油を切って冷ましたもの
それも、そんなに長い時間はおいていないので
冷めてはいるものの、衣はさっくり。

そりゃ食べた時に、衣はパラパラとこぼれます。


「・・・・ってことは?」

「マジでか・・・」

 

なんとクライアントさんの頭の中のコロッケの記憶は
味と同じように、この衣の食感(水分量)まで
きちんとセットで記憶されていたということになります。

すごくないですか?
45年も前の小学生低学年の頃に食べた記憶ですよ?
コロッケがジャガイモでできてることすら知らなかった
子供の記憶がこんなに明確なんて・・・

 

なんて考えていると、正直ゾッとしました。

「私って、なんかすごく無謀なことしようとしてる?」
「ほんとに、そんなことってできるの?」っと
不安や、心配がもくもくと頭の中にわいてきました・・・・

でも、もうここまできたら、やるしかない!よね~(T_T)
もう逃げられない・・・・

 

と腹をくくり、持参したプラスチックの容器に
もう一度、コロッケを詰めたのでした。
結果はご覧いただいた通り。

正直、私的には「なんとかお許しをいただけた」
という感じでしたが
なんと、ここまで12時間以上かかってしまいました。


番組上は、簡単にこの結論にいきついたみたいに
編集されてしまっているのですが、
これも業界用語でいうところの「尺が足らない」という、
「放送時間が圧倒的に足りない」ので、
編集で上手くつないで、つじつまを合わしています。

 

話は前後しますが、私自身が「思い出の味 再現します」で
本当に面白いなと思うのは、こういうところだったりします。

 

残念ながら、テレビのなかでは
なかなかそこまでをお見せすることができず
私としてはとても残念なのですが、
そんないろんな大人の事情もあるのがテレビの世界。

 

ま、テレビに限らずですが
みんな、それぞれの立場の人が「いいモノ」を作ろうと
いろんなしがらみの中で精一杯やっているのです。

 

あんなこんなの毎回思いもしないことがおこる
「思い出の味 再現します」ですが

次回は、この同じ「一滴の向こう側」で取り上げた
「おばあちゃんの昆布の佃煮」の裏話を
お話できればと思います。

さてさて、そこにはどんなドラマがあったのでしょうか?

次回をお楽しみに~!