こんにちは
「思い出の味 再現します」宗河 美幸です。

あなたは自分で料理をしますか?
今も実家でお母さんがご飯を作ってくれていますか?

一人暮らしや、結婚したりして、
自分で料理を作るようになったとき
「お母さんと同じ味にならないのは、どうしてだろう?」
と思ったことはありませんか?

肉じゃがや、カレー、ハンバーグなど
定番の家庭料理って、誰でも作りますよね。

頭の中にあるのは、子供の頃から食べてきた
自分が思う「普通」のお母さんの味。

お母さんと同じように作ってるつもりなのに
どうして同じ味にならないんだろう?
もしかしたら、作り方を教わって作っても
同じ味にならない、って経験はありませんか?

「思い出の味 再現します」のクライアントさんは
もちろん男性もいらっしゃいますが、
女性からのほうが若干多く、ご依頼をいただきます。

そしてだいたいの場合、
「また食べたいと思って自分で作ってみたけれど、
 どうしても、同じ味にならないので、お願いしました。」
という内容のことをおっしゃいます。

また、おばあちゃんなどの場合は、
「お母さんが作るのとも、自分で作るのとも味が違う。」
とおっしゃることもあります。

その謎の原因はどこにあるのか?
いろんな可能性をさぐっていく中で
私が出会ったエピソードをご紹介できればと思います。

「思い出の味 再現します」では、
こうして子供の頃から食べ続けてきたものでも
改まって、作り方を教わらないままで
それを作ってくれた方が亡くなってしまったりして
「今では、誰も作り方がわからないんです。」
ということも、よくあります。

今日は、前回に引き続き、先日放送された
「一滴の向こう側」で取り上げた
「おばあちゃんが作ってくれた昆布の佃煮」
について、「一滴の裏側」をお話しようと思います。

このおばあちゃんの佃煮
クライアントさんが子供の頃から
ずっと冷蔵庫に入っている常備菜として、
何十年と食べ続けてらっしゃったものでした。

このご依頼のラッキーだったところは
おばあちゃんが住んでいらっしゃったお宅が
まだ残っていて、同居されていた叔母様が
いらっしゃったことです。

刑事ドラマではありませんが(笑)
現場のキッチンや調味料が残されていることは
私にとって、とても大きな情報源になります。

そしてこの昆布の佃煮には、
特徴的なお醤油が使われていました。

みなさんもよくご存知かもしれませんが
日本は南北に長い国で、北と南では
醤油の味って、全然違うんですよね。

一般的に北のお醤油は塩分が強く
南のお醤油は甘くなります。

そして南北だけでなく、地方性というか
同じエリアであっても田舎の方にいけばいくほど
味が濃くなっていくようなこともあったりします。

都心部の方が、味が薄く、洗練されていくような
印象でしょうか。

今回のおばあちゃんのお宅は、京都の郊外に位置し
まだまだ田んぼや畑が多く残っているような所。

そして、この地でおばあちゃんが使っていたお醤油は

すでに少し甘みが付けられている特徴的なものでした。

おばちゃんはこのお醤油を「煮物用」とよんでいて
佃煮はもちろん、いろいろな煮物に使っていたようでした。

色々な方の「思い出の味」を再現していく中で
お醤油の銘柄は、私が特にこだわる部分の
一つでもあります。

クライアントさんから、ヒアリングを行い
材料を特定していく中で、調味料の特定にも
かなりの時間と労力をさきます。

これも、裏話のひとつですが

 

「思い出の味 再現します」のご依頼の試作期間で
たまたま去年の12月は4名の方が重なっていたのですが、
(1名の方は調味料でお醤油を使わない料理でした)
全員違う銘柄のお醤油を使っていました。

この調味料の銘柄の組み合わせなども、
「思い出の味 再現します」の大きな要素の
ひとつでもあります。

私の場合は、クライアントさん毎に、
小さなダンボールにそれぞれの調味料をまとめて
試作のときは、そのダンボールを持ってきて
使うようにしています。

そしてこの(調味料も含めた)「材料集め」が
再現の過程で、ヒアリングの後、
試作を始める前にしなければならない
重要な作業でもあります。

実際に自分で現地に足を運んで調達したり
クライアントさんにお願いして送っていただいたり
ケースバイケースですが、
今回はここに重要なヒントが隠されていました。

試作するにあたって、実際にこのおばあちゃんが
生前、ほとんど毎日買い物していたという
お宅のすぐ隣のお店、田舎のほうにある、
よろず屋さんというか小さなスーパーマーケット
のようなところに買い物に行きました。

番組をご覧になられた方は、もうご存知ですが
なんとこのおばあちゃんが作った佃煮には
「調味料として」市販の佃煮が使われていたのでした。

びっくりしませんか?
普通に、自分で佃煮を作るのに、
調味料として市販の佃煮を買って入れますか?
でも、実際にお店の方のお話では
「昆布と一緒に、市販の佃煮も必ず買っていた」という
お話を教えてもらったのでした。

その市販の佃煮の中には、白ゴマが入っていたのですが
これを入れて出来上がった昆布の佃煮にも
当然比率はさがりますが、白ゴマが入りますよね。

これも、事前のヒアリングでは出てこなかったのですが
実際にこの白ゴマが入ったものと、
入ってないものを見比べてみてもらったら
やはり入っていたということが、後からわかりました。

そして「思い出の味」再現日当日、
私が持ち込んだ試作の佃煮は4種類。
試食してもらって、その中の一番近いというものから
微調整して、試作。

試食後「これをもう少し煮詰めたらいい感じかも?」
ということで、それを再度鍋に入れて煮詰めて、
いざ試食。

テレビカメラも、その瞬間をとらえようとスタンバイ!
私も、クライアントさんも、ドキドキで、口に入れる。

「・・・・・ん?なんか醤油辛いかも?」
なんと、ちょっとだけ煮含めたかったのですが
どうやら、「行き過ぎた」もよう・・・

クライアントさんも、ディレクターも、私も
待ち構えていただけに

「が~ん・・・・」
「マジでか・・・、そんなことある?」
と、ショックが隠せず・・・・


まぁまぁ、こういうのが
「思い出の味 再現します」の
醍醐味というか、面白いところ(笑)

そして、ここで以前ヒアリングの中ででてきていた
『七輪』の出番です。

試作も、当日もガス火でやっていたのですが、
どうやら火力が強すぎたようて、煮含める前に
煮詰まってしまうような状態になってしまったので
今度は熱源を変えて、同じレシピで再度チャレンジ。

冷めたところで、お皿に入れ食卓へ。

すると、どうでしょう。

まだ、食べてもいないのに、
クライアントさんの口からでたのは
「これ、これ」「これじゃない?」という言葉。

「いやいや、まだ食べてないや~ん!!」と、
私は心の中で叫んでいるのですが(笑)

実はこれ、「思い出の味 再現します」の中では
よく見る光景なんですよね。

ホント不思議なんですが、
人間は口に入れるより先に
匂いで識別してるんだなぁって、思います。

それこそ原始時代から、現代まで
「これって食べて大丈夫?」って時に
まずは匂いをかいでみるってことしますもんね ^^;

どうやら人間の臭覚は味覚よりも
脳の深いところ(原始的な部分)で識別して、
記憶しているそうです。

そして、この「思い出の味」の記憶も
同じところに収納されているようですね。

今回、匂いの記憶について書ききれなかったので
次回は、この匂いについてのエピソードを
紹介しようと思います。

では、次回もお楽しみに~!